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経絡治療について

まず、川の流れを想像してみて下さい。その川を「経絡」、川の所々に突き出している岩を「経穴(=ツボ)と考えて下さい。人間の身体には十二本の経絡(正経)が循(めぐ)っており、それらのバランスが崩れ衛(まも)りが傷(やぶ)られる事によって病気が起こると言うのが東洋医学の病理観です。同じ様に食中毒やウィルスに感染したとしても、発症する人としない人がおります。これはその人の持っている免疫力・体力などの違いによって起こる訳ですが、この様な感染しても発症しない抵抗力の強い身体をつくる事が可能なのが、この経絡治療です。

 

― 東洋医学と経絡 ―

東洋医学は自然哲学の思想を基礎にした実践的な治療医学です。それは臨床の積み重ねに基づき、その理論は天人合一思想や陰陽五行説などの自然哲学に由来しています。

東洋医学では、人の体の構成要素は、万物を構成する「気」・脈管を流れ栄養を運ぶ「血」・血以外の体内の水分である「津液」だとしています。それは生命活動のエネルギーである「精」によって働きます。気・血・津液が、精に支えられて正常な量と力を維持しているのが健康な状態です。

そして、経絡とは、体内を巡ることで生命活動を支えている気の通り道です。五臓六腑、四肢百骸を機能的に結びつけ、蜘蛛の巣のように全身を張り巡らせています。この経絡を気が巡ることにより、神経・血管・ホルモン分泌等に作用し、生体機能全体を調整してバランスが保たれています。

具体的には、身体には経脈と絡脈が走行(経絡)しており、正経では12の系統、奇経に8系統があると考えられています。これは、全身の栄養、化育、生殖、疲労回復、病気予防等、その生命活動を営む統制機構であり、気血を通じて人体の各部を総て分担支配しています。

しかし、内外の病因によって気血の廻りが害され経絡に歪みや変動が現れると、その経絡の特徴による様々な病症が生じます。この経絡の歪みや変動を補瀉(正気の不足にはこれを補い、邪気がある場合にはこれを抜き去る)しバランスよく調整するというのが東洋医学の病理感であり治療理念です。

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